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「実務5年以上」を公的統計で調べたら、同じ5年ではなかった

著者:SecBilly 公開 2026-09-20

不採用の理由が記録できた76社のうち、79%が「経験不足」でした。返ってきた文面には、たとえば「5年以上の経験がない」というものがありました。

その5年に根拠があるのかを、厚生労働省の統計で調べました。結論から書くと、根拠は見つかりませんでした。

この記事の要点

落ちた理由で最も多かったのは「経験不足」

103社に応募して、書類で落ちたのが71社。そこに面接後の不採用を加えて、理由を記録できたのが76社です。

そのうち79%が「経験不足」でした。返ってきた文面には、こういうものがありました。

この2つは違うことを言っています。前者は年数の話、後者は経験の中身の話です。79%の内訳をどちらか分けて記録していないので、「全部が年数だった」とは言えません。

詳しい内訳は103社応募した記録に書きました。

公的統計で、経験年数別の年収を見る

使ったデータ

厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2023年)です。e-Stat の API から取りました。

IT職種3つの年収

職種0年1〜4年5〜9年10〜14年15年以上
システムコンサルタント・設計者393万487万600万665万745万
その他の情報処理・通信技術者356万434万529万552万643万
ソフトウェア作成者368万417万478万573万625万

3職種とも、0年から15年以上で 1.7〜1.9倍になります。

🔴 ところが、伸び方の形が揃わなかった

区間ごとの増え方を並べると、職種によってまったく違いました。

区間システムコンサルタント・設計者その他の情報処理ソフトウェア作成者
0年 → 1〜4年+23.9%+21.9%+13.3%
1〜4年 → 5〜9年+23.2%+21.9%+14.6%
5〜9年 → 10〜14年+10.8%+4.3%+19.9%
10〜14年 → 15年以上+12.0%+16.5%+9.1%

システムコンサルタント・設計者は、前半で大きく伸びて後半で鈍ります。「5年で折り返す」形です。

ソフトウェア作成者は逆でした。伸びが最大なのは 5〜9年 → 10〜14年 の +19.9% です。

その他の情報処理は、5〜9年の先でいったん +4.3% まで落ちたあと、+16.5% に戻ります。

自分に近い職種ほど、話が合わない

自分の経歴は開発とインフラです。統計の職種でいえば、近いのはソフトウェア作成者かその他の情報処理で、システムコンサルタント・設計者ではありません。

そして「5年で折り返す」形がきれいに出ているのは、システムコンサルタント・設計者だけでした。

最初は「5年で折り返す」と書こうとしました。それは3職種のうち1つだけを見た結論でした。

区分が5年刻みなので、そもそも「5年」は特定できない

データは 0年 / 1〜4年 / 5〜9年 / 10〜14年 / 15年以上 の5区分です。

伸びが鈍るとしても、それは 5〜9年を抜けたあとの話で、何年目が境目かはこの粗さでは分かりません。

同じ「5年」でも、数えているものが違った

ここが一番大きい問題でした。

別のものです。統計のシステムコンサルタント・設計者の「5年」は、セキュリティを5年やった人の話ではありません。

だから「求人が5年を求めるのは、統計でも5年で給与が上がるからだ」とは言えません。重ねられない数字でした。

自分の600万も、統計に当てはめられなかった

4回の転職で、年収は 240 → 300 → 500 → 600 → 800万でした。4社目のときが600万です。

統計のシステムコンサルタント・設計者の 5〜9年がちょうど600万なので、最初はここに重ねようとしました。やめました。

個人の実額と平均値は、そもそも重ねるものではありません。

自分の場合、年数を聞かれたのは外からのときだけだった

社内異動でセキュリティのポジションに入ったときは、経験年数を聞かれませんでした。外からの応募では、年数で落ち続けています。

ただしこれは自分の1件ずつの経験です。社内だから聞かれなかったのか、たまたまなのかは分かりません。一般化はできません。

この話は社内で手を挙げて入った記録に書きました。

この統計の限界

年数と年収に対応があること自体は読めます。ただ、その対応が能力によるものか、年功や年齢構成によるものかは、このデータでは切り分けられません。

まとめ

数字を並べれば何か言えると思っていました。実際には、言えないことのほうがはっきりしました。それも記録しておきます。